ザ・フォール/落下の王国

なんて豪華な映画なんだ！
撮影期間４年って！　ウォン・カーワイか！
とツッコミを入れてしまいたくなるんだけれど、
撮影場所が素敵すぎるよ！
衣装は石岡瑛子だし。
なんなの、これ！　なんなの、これ～！！

というわけで、ざっくりした内容は――
スタントマンのロイ・ウォーカー君は、鉄橋から馬に飛び降りるスタントで
事故ってしまい、下半身付随になって入院してしまう。
人生に絶望し、自殺を図ろうとするんだけれども、歩けないのでそれもままならない。

そんな彼の元に腕を骨折して入院している５歳の少女が別の病棟からやってくる。
これ幸いと考えたロイは、少女を操って、自殺用のモルヒネを取りに行かせようとする。
そして、少女を操るために奇妙な物語を彼女に話して聞かせる。

という感じ。

で、ロイが話す奇妙な物語っていうのが、微妙に現実とリンクしていて
妙に面白い。あぁ、そのエピソードはロイの病室のあの人のねとか、
そのエピソードは看護師さんの話ねとか言いながら観るんだけれど、
それまでに病院の中で起きた事がつながりつつも、ロイの思いや考えに
集約していくのが分かるのね。つまり、自然、悲劇的な物語に
なっていく。

でね、この物語の舞台があっちこっち飛ぶんだけれど、
それが「世界の行きたい場所」に必ず挙がるようなところなのよね～。
だから、もし話がつまらんと思っても、映像を観るだけでも楽しめるよ。

いや、私は面白いと思ったけれど、正直、万人向けの映画ではないと思う。



で、ロイを演じたのが、私がこの間からハマっているスランドゥイル様（ホビット）を
演じたリー・ペイスなのね。彼は本当に演技力がある。
実はこの映画の撮影中、リー・ペイスはロイの入院中のシーンではずーっと車椅子に
乗って移動していたらしい。だから、周りはみんな、本当に彼が下半身不随だと
思い込んでいたんだって。それは監督のアイデアだったらしいんだけど、撮影中ずっと、
周りを騙し通すってすごいよね。
本人は「ちょっと周りに申し訳なかったなー」みたいな事言ってたけれど、
あれでしょ。ちょっと、まんざらでもなかったでしょ？？

というわけで、いわゆるアート系とか、コンセプチュアルムービーとかが好きな人には
オススメ。分かりやすいハリウッド大作が好きな人にはあまりオススメしない映画で
ございます。