ある意味うらやましい…

イザナミは、新潟地震を経験しているので、今回の地震にあまり動じていない。
私も地震（震度５強）だけだったらそんなに動揺しなかったと思うが、
想定外の出来事が押し寄せてきて、すっかり見えない敵と戦うモードに入って
自分を見失ってしまった。

この間の夜のこと。
イザナギが寝てしまった後、母娘でNHKを観ていた。
アナウンサーと解説委員が原発について話している。
原発についてあまりにも無知だったので、不安でいっぱいの私は
画面に食い入るようにして観ていたのだが……。


母「一体、何着持ってるのかしら」


私「は？」


母「あの人よ。朝と違うスーツ着てるの。
　　昨日もちゃんと着替えて出てきたのよ。それでね、結構オシャレなのよ」



母の目を釘付けにしたのは、NHKの水野解説委員。
確かに彼はオシャレだが、この非常時にそこに目が行く人はあまりいない。
…と思う。


実は母には前科がある。
２人でとある映画を観に行ったのだが、登場人物の女性が崖から身を投げるシーンで、
観客みんなが息をするのも忘れてスクリーンに見入っているときに、

「あ、あのネックレス、私も持ってるわ。ほら、天照、見て、あれ、あのネックレス！
　あの（身を投げようとしている）女の人のネックレス。あれ、私が去年買ったのと同じよ！」

と、私に振り返って言ったのである。


（……かーちゃん、おかげで涙が引っ込んだよ……。
　でも、なんでこのタイミング？）
と私は思ったのだが、とにかく母は空気を読まない。
わざとなんじゃないかと思うくらい読まない。
私もあまり読まないが、母は私の上の上のさらに上を行く。


今回も、原発という超ホットな話題で緊張感が高まっているときに
解説委員のスーツの話をするのである。


母「奥さんが届けにくるのかしら。
　　絶対、あれね。
　　子供がいない夫婦ね。　　　　　　　　　　　　　　　　←　ものすごく勝手な思い込み
　　だから服にお金をかけているのよ。　　　　　　　　←　ものすごくどうでもいい推理
　　そうに違いないわ」　　　　　　　　　　　　　　　　　　←　根拠が全然ない自信


しかし、おかげで確かに緊張はほぐれた。
そこで私も母のマネをしてみた。

私「いや、きっとNHKの隣りに住んでるんだよ。
　　住所は東京都渋谷区神南。
　　独身と見た。
　　だって、さっきちらっと映ったけど、オシャレな高級時計してたよ！」


そんなことがあって、後で水野解説委員をググってみたら、
既に2ｃｈにスレが立っているらしいことが判明。
人気者だった。
母さん、ごめん。ほかにも似たような人がいたよ。


私は優しいので、どうやら水野解説委員がゲイに人気があるらしいことは
言わないでおいてあげた。

あまりの緊張で私のゲイダーは今、さっぱり稼働していないので
本人がそうかどうかにはあえて言及しない（←ある意味根拠のない自信）が、
確かにゲイ好きするタイプだと思う。

※ゲイ好きするタイプ　→　本人がゲイかどうかに関わらず、ゲイにモテるタイプのこと。