連日のように報道されている「ジダン、頭突き」事件。

どっかの無知なTVコメンテイターのおっさんが「野次を飛ばすことなんてよくあることですよ」と言ったらしい。

ちょっと待て。
確かに、ジダン様の行動はいただけなかった。
しかし、もしその背景に「人種差別」があったならば、
したり顔で「よくあること」なんて言うお前は、
世界の中心で「己の無知さ加減を世界に叫びまくっているんだぞ」と私は言いたい。

もう一度、言おう。
ジダン様の行動はいただけなかった。

しかし、人種差別や宗教差別が背景にあったならば、
それを「その類の野次はよくあること」でかたづけるその無神経さが
私にはまったくもって理解できない。

きっと、そのコメンテイターのおっさんは、
差別を目の当たりにしたことがない、あるいは想像力の欠片も持ち合わせてない
のほほんとしたぼんくらなのだろう。

ジダン様を始め、フランスの代表に選ばれるようなサッカー選手には
白くない御仁が多い。
彼らは、ボールを持つたびに観客からモンキーチャント(猿真似)の
お見舞いをくらったり、相手選手や、ときには監督、チームメイトからも
差別発言をされた経験を少なからず持っている。
白くないというだけで。
私が好きなアンリちゃんだって、テュラム選手だってみんな、
そういう経験をしている。
イングランドのアシュリー・コールだってそうだ。
(彼らは一様に、「世界的なFW」とか「世界的なDF」などと呼ばれている)
彼らはピッチ上でミラクルのようなプレイを見せてくれる(私たちを
楽しませてくれる)のに、そのお礼にと私たち観客や同業者は
彼らに容赦のない「差別発言」や「差別的な挑発」を浴びせているのだ。
それ以上に理不尽なことってあるだろうか?

いくらサッカーというスポーツが好きであっても、
そんな状態が続けば、人間、いつか切れるときだってあるだろう。
ジダン様の「私だって、1人の人間だ」発言がそれを如実にあらわしている。

もう1度言おう。
ジダン様の頭突きはいただけなかった。
しかし、ある意味、あれはサッカー界における人種差別対策に一石を投じた行動だったかもしれない。
そういう意味では、まったく「意味がない」ことではなかったかもしれない。

それが頭突きによるものでなければ、もっとよかったけど。

前にも書いたかもしれないが、
私は以前、香港で白人系イギリス人による「あまりにもバカらしい、中国人に対する偏見」を
目の当たりにしたことがある。
だから「頭突き事件」をそんな風に考えるようになっただけかもしれない。

しかし、私はそのときに気付いてしまったのだ。
「相手に理解を示さない、あるいは示せないことがいかに愚かで醜いことか。
 しかし、そう考えることで、自分もまた他者(特に白人)に対して
 偏見を抱いてしまっている」ということに。

実は、世の中は「差別」と「偏見」にあふれている。
偏見を抱くことに、「学力」はまったく関係ない。
「家柄」も関係ない。「性別」も関係ない。
意識的にそれらを排除していかないと、それはどんどん人間の中に侵食してくる。

「差別のない」世界にいると思っているあなたは、なんと無知で愚かなのか。
そんなものからは目を背けたい?
しかし、哀しいことに、それはどうしようもなく現実で、
私たちの身近にあることなのだ。



しかし、どう考えても、マスコミの取り上げ方は「興味本位」でしかないな。
どうせ取り上げるなら、この問題の根の深さをもっと取り上げるべきなんじゃないの?
それができないなら、いたずらに騒ぐな、と言いたい。
どうせ、「しない」んじゃなくて、「できない」んでしょ。

コメント

kaichu
kaichu
2006年7月15日2:52

おお!以外にもここで真実が!でもアメリカとかの周囲ではなぜか「単なるけんか」みたいな話になってて、びっくり。だって彼はアルジェリア人だから。頭突きされた側は彼に向かって「お前の母さんテロリストの売春婦だ」といったそうだ。

イスラムならそりゃ怒るがな。

ちょろのすけ
ちょろのすけ
2006年7月15日5:46

差別や偏見は人間の本能に近い物だから、なくなる事はないけれど、それを理解してハンドルしていくのと、それを肥大させて行動や態度に出すのとは大きな違いがあると思います。

関係はありませんが、カーンは相変わらずスタイルがよかったホッとしました。4年間でおじさん体型になっていたら悲しいなぁって思っていたもので。美しい男が美しいままというのはいいものです。はい。関係ないですね。はい。自覚しています・・・。

天照大神
天照大神
2006年7月15日11:40

■kaichuさん おっ! お久しぶりです。
アメリカは、とんとサッカーに興味がない国からな〜。「どーでもいい」ニュース扱いなんでしょうな〜。
頭突きされた方が何を言ったかは分からないけど、彼はイタリアサッカーファンの間では、有名な札付き悪なのよ。まー、あいての神経を逆なでするえげつないこと言ったんでしょうな〜。
彼ならば、宗教関係、家族関係に関する挑発発言をしたとしても何の不思議もないって感じ。本当に「テロリストの売春婦」なんて言われたら、
誇り高きイスラムの人はほんと怒るよね〜。
「疑わしきは罰せず」だけど、心情的には「読唇術でも何でも使って、彼が何を言ったかを明らかにして、彼にも罰を与えてくれ」って感じだ。

■ちょろのすけさん
そうなんですよねぇ〜。やっぱりここまでくると、本能的なのかも、という気はするんですよねぇ〜。
自分とは違うものに無意識に抱いてしまう嫌悪感とか警戒心とかね。
でも、それはおうおうにして無知によるものが大きいわけだから、
子供のうちからしっかり教育して、その本能をハンドルできるようにすれば、
そうそう人間間のトラブルの元になるとは思えないんだけど…。
そうはうまくいかないんですよねぇ〜。

カーンはここにきて、ちょっと男を上げましたね。(笑)
って、スタイルの話か。いや〜、現役の間は、彼は大丈夫なんじゃないでしょうか。
GKって、結構激しい練習してるみたいだし。(試合中は暇な人もいるけど)
ホラ、反射神経で動く人たちだから、あんまり肥えてしまうと
反応できないですよ。

高村 あまね
高村 あまね
2006年7月15日22:37

すみませんすみません。。。
こないだてーさんと、抱きつかれた最初のところから、『はげの数え歌』をねちっこく3回繰り返されたら、はげねたでもこれぐらい怒るよねと、
歌詞を一本化して地域格差をなくすため、電話で10番まで歌っていました。(笑)
面白かったけどちょっとなんとなく反省。

天照大神
天照大神
2006年7月15日22:52

■高村さん
あははは…。大丈夫ですよ。
きっと、ジダンは「はげネタ」では怒らないと思いますよ。
むしろ、男性ホルモンが旺盛ってことで、誇らしげに思ってるかも。
(さすがにそこまで、じゃないか。)

ちなみに、元祖ジェームズ・ボンドのショーン・コネリーは、
まったく「ハゲ」を気にしていなかったようです。
007でブイブイ言わせていたときには既に立派なハゲで、そのまま
撮影に臨もうとしていたところをプロデューサーをはじめとする
スタッフから「それだけはやめてくれ」とかつらを渡されたそうです。(笑)
ショーン・コネリーは当初、思いっきりかつらに難色をしめしていたそうです。
どこかの誰か(某アメリカの俳優 『ティン・カップ』とかに出てた人)とは
エラい違いですね!

りす
りす
2006年7月16日0:28

>そのコメンテイターのおっさんは、
>差別を目の当たりにしたことがない、
>あるいは想像力の欠片も持ち合わせてない

……いや、そうではなくて、自分がふだんから差別的発言をまきちらしていて、それがどれだけ被害者を傷つけ、良識ある視聴者をどれだけ憤慨させているのか……に、まったく自覚の持てない、ダメダメ人間なんだろうと思います。
 
それにしても、さすがオオミカミ様。
良い御意見ををお持ちであられまする……。
これからも、ついて行きま〜す♪ !(^^)!

天照大神
天照大神
2006年7月16日1:23

■りすさん
うひょ。いや、私は単に、楽しくサッカーを観たいだけなんですよ。
でも、ああいう騒音が耳に入ってくると、ウザいでしょ。
だから、「たかがサッカー、政治・宗教は持ち込むな!」、
されどサッカー、「騒動が起きくなれば、観ている人にも影響は大きいぞ」と
思ってるだけなんですよ。
ははは……。だから、「私」にだまされてはいけませんヨ。

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