戦利品&【羽衣】
というわけで、観てきたぜい。
薪能がただの能になっちゃったけど…。

午後1時の時点で、薪能が能に変更されるって確定しちゃったけど、
くやしいからめちゃくちゃ厚着をしていったら、大変なことに……。
やっぱホールには暖房が入ってたわけよ。
(厚着…やめりゃーよかった。とほほ)

この某神社で毎年行われる薪能では、必ず始まる前に解説が入るのだが、
今回も一緒に行ってきた幼馴染Eちゃんに、「頷きながら熱心に聞いてるなぁ〜と思ったら…、
寝てたでしょ。船漕いでたよ。(どぉ〜ん@喪黒腹造風)とバリッと指摘されるくらい、
会場に入ったとたんに眠気に襲われた。
あ〜あ。

でもま、最初の能は、初心者にも分かる(かもしれない)と言われている『羽衣』だし〜。
で、『羽衣』がどんなストーリーかっつーと――

ある朝、漁師のおっさん・白龍が歩いていると、
芳しい香りはするは、素晴らしい楽の音はするは、花は降ってくるはとあり得ないことが起きていた。
どうやら三俣の浦の松の木にひっかかった羽衣がその源らしいってんで、
白龍はその羽衣を家に持ち帰って家宝にでもするかと回収。(←単純)

するってぇ〜と水浴びしてたんで半裸の天女が現れて
「ちょっと、あんた何すんのよ。そりゃーあたしのよ、返してよ。
 このセクハラ野郎」と言うではないか。

しかし、「いやだね。これはおれんちの家宝にするんだよ」と半裸のおねーちゃん(天女)を追い返そうとする鬼のような白龍。

「じょ、じょーだんでしょ。それがなきゃ、あたしは帰れないのよ。
 返してよ!!」と食い下がる天女。
ちっとも天女をありがたがらない白龍に根負けして泣き始める。
「え〜ん、おうちに帰りたいよ〜!! び〜〜〜!!」

ちょっとだけ天女に同情した白龍は、「じゃあ〜、天の踊りとやらを踊ったら
返してやるよ」と提案。
「じゃあ、返してよ。それがないと天の舞なんか踊れっか!」と天女は逆ギレ。
「じゃあ、返せねーよ。どうせ、返したら、踊らずに帰りやがるんだろーが!!」と白龍はさらに逆ギレ。
するってぇ〜と、天女は「あんた、いい加減にしなさいよねっ!!
人間なんて何様のつもりよ!! いつも疑いやがって!!! 
インド人が、いや、天が嘘つくわけねーだろうがっ!!! ガーーーーーー!!」
」と
かぶせるように逆ギレ。
白龍は「ちっ、しょーがねーな。逆ギレしやがって」と天女に羽衣を返してやる。

そこで人間様だったら、「人間のバーカ、バーカ。だ〜れがお前なんかに踊りを見せてやるか」とか言って
さっさと天に帰っていきそうなものだが、この天女ちゃんは正真正銘のホンマもんだった。
「まったく、人間ってやつぁよ〜」と思いながらも、極上の踊りを見せてあげちゃう。

美しい踊りを見せながら金色の柱となって天(この場合は)に帰っていく天女。
見送る白龍は、「…あ。約束守って本当に踊ってった。あの子、いい子じゃん。
おれってば、おれってば…」と天女を疑った自分を恥じるのである。

という、比較的素人にも分かりやすいものである。
1行で書けば、「天女の純粋さに打たれ、自分の疑い深さを恥じた人間の話」である。

本当の『羽衣』ストーリーを知りたい方は、こちらなんかいかがざんしょ。
山本能楽堂便りさん
http://www.h6.dion.ne.jp/~asano/index.htm
こちらの『羽衣』には、写真も載っていて、分かりやすい解説もありばす。
http://www.h6.dion.ne.jp/~asano/hagoromosya.htm

この『羽衣』伝説、実は色んな場所でさまざまな形で残っているらしい。
そのほとんどが、白龍は結局、天女に羽衣を返さず、それどころか妊娠させちゃうというもの。
鬼のような白龍のターゲットは、この時点で羽衣から天女へ。
天女をつなぎとめるために、必至こいて白龍は羽衣を隠し、
天女は何年もかけて自力で羽衣を探し出し、最後には見つけ出して
(多分)憤慨しながら天に昇っていく。
あるいは、ラッキーな白龍も一緒に天に昇っていく、というパターン。
よっぽど人間の男は信用されていないらしい。
しかし、能の世界の白龍は、天女を純潔を守ったまま昇天させてやるのである。
最終的には、「おっさん、にくいね」と言わせる構図。

さて、ストーリーは分かりやすくても、踊りはやっぱり分かりにくい。
というのも、確かに美しく派手な衣装で現れた天女だが、
例の如く、踊りといってもほとんど動かない。
ほんでもってとにかく眠気を誘う。
で、気付いたら、やっぱり途中記憶が途切れ途切れになっているのだった。
あ〜あ。

せめて、中にいい男が入っていれば、ミーハーな私も目を皿のようにして
天女を凝視するのだが……。
っていうか、天女が一生懸命「羽衣返せ」と訴える声も野太いおっさんの
声だしなぁ〜。

写真は戦利品「××××薪能まんじゅう」
能面の焼きが入ってるのだ。

コメント

流知翕
流知翕
2006年6月1日7:45

画像は薪能まんじゅうなのですね。
何かの虫の卵かな?と思っていました。

楽しいレポートありがとう!
軽妙で、実は深いですね。

PAVANE POUR UNE INFANTE DEFUNTE 
いい曲ですね。
早く弾きたいでしょう?

天照大神
天照大神
2006年6月3日17:37

■流知翕さん
あはは。虫の卵じゃありません。
薪能饅頭です。能面の焼きごてが入ってます。クリックすると大きくなります。
話自体は軽妙なんですが、ぶっちゃけそれだけのあらすじを50分もやられると眠くなります。(笑) でも、何度寝ても観にいっちゃうんですよねぇ〜。

『亡き王女のためのパヴァーヌ』
ほんと、いい曲ですよねぇ〜。しみじみ。
しかし、弾ける日はいつくるのか…。かなり微妙です。(笑)

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