「若く見られる人は、顔の皺が少ない」というのは、世の定説らしい。
……しかし、我が家には、その定説を覆す人間がいた……。

12月のワイハは雨季である。
雨季とは、「よく雨が降り湿度が高くなる時期である」と理解していたが、ワイハの雨季は違った。

これを雨季というなら、乾期はどうなっちゃうのさ〜?!?!?!
私をしわくちゃばばぁにするつもり〜?
キィィィィーーーーーー
と叫びたくなるくらい、ワイハは乾燥していた。

しかし幸いにして、私は成田を発つ前に、下で(↓)大宣伝したOXYGEN MISTを買っていた。で、機内で1時間ごとに顔にシューシューした。
そんなわけで、私は機内で使いかけの1本を使い切り、ぷるんぷるんとワイハに乗り込んだ。
それでも、ワイハに入ると乾燥のせいで顔が痛かった。
女神の私でさえこんなに努力してたってのに、まったく努力が足らない人がいた。
それは今回の花嫁・姉1号である。

我が家の人たちはもともと、肌のトラブルが少ない方だ。
私たち姉妹は、皺が少なくしかも目立たないせいか、実年齢より若く見られる。
(3人とも平均5歳は若く見られる)
だから基本的にはあまり肌に気を使っていないってのが正直なところだ。
しかし、私は最低限のケアはしている。色物はチープなモノも使うけど、基礎化粧品にはけっこう金をかけてるのだ。それは、女王様(姉2号)も然りである。
ところが、姉1号はさっぱり、まったく、全然気を使っていない。
女王様と私が口を酸っぱくして「もっとケアしないと、目じりがチリメンになるよ〜」と
脅しても、馬耳東風・どこ吹く風ってなもんで、聞き入れやしないのである。
しかし、不幸にも、そのツケが結婚式当日にまわってきちゃったのである

花婿が花嫁の準備を見てはいけないとよく言われているが、
今回はメイクさんたちが姉1号の部屋に直接出向いて、花嫁メイクを施してくれた。
私たち親族は、姉1号の準備が出来上がった頃、ホテルのロビーで待ち合わせを
して、リムジンで教会に向かう姉1号夫婦(既に入籍済み)を見送り、
そのあとをやはりリムジンで追っかけるという段取りになっていた。
ロビーで花嫁の登場を待つ私たしの目に映ったものは……。

チリメンどころか、花嫁衣裳を着た巨大な鳥の足跡だった……。
(つまり、目じりに皺がくっきり、はっきり、これっきりと刻まれちゃっていて、
 その様子がまるで2つの巨大な鳥の足跡に見えちゃったのである)
(いや、姉の名誉のために申し添えれば、髪型はオードリー・ヘップバーンのような
 巻き髪にティアラ、純白の肩出しドレスは姉の細い体を引き立て、非常に美しかった)

天照大神「……お、おねーさん。鏡見た?」

姉1号  「そ、そーなの〜。ど〜しよ〜。グスグス
(↑感極まったのか、鏡を見たせいなのか既に泣いている)
      なんか、飛行機に乗ったときからず〜っと空気が乾燥してると
      思ってたんだけど……しくしく」

姉にとっては不幸なことに、私はそのときOXYGEN MISTを持っていなかった。

天照大神「ホラ、泣かない。泣くと余計に皺が……。メイクが……あ〜あ〜あ〜」

姉1号  「分かってる。分かってるんだけど……ここまでの道のりが長かったことを
      想うと……」

今回の結婚は、出会ってから1年未満で海外挙式まで漕ぎつけたスピード婚である。

天照大神「……何言ってるの? 長いも何もスピード婚じゃないの〜。
早く涙拭きなさいよ〜。化粧がはげるわよ〜。
     あ〜、あ〜、あ〜」

姉1号  「だって、ずっと結婚したかったんだもん〜」

姉は、1度目の結婚で懲りたわけでは全然なかった……。

天照大神「分かった。分かったから、泣くな〜。
       あ、おねーさん、泣くのもヤバいけど、笑いすぎるのもマズいわよ。
       余計に皺が深くなっちゃう」

姉は、前回の結婚式で「花嫁笑いすぎ」と各方面からお叱り(?)をいただいた過去がある。
その笑いすぎが今回のような事態を招いたことを本人が自覚しているかどうかが記念撮影の鍵となるのだが、
例え自覚していても、そこで「私だけは大丈夫」という妙な自信を持たれた日には妹の心配も無駄に終わる。
しかし、どうやら、姉は学習したようである。
ホテルのロビーで記念撮影が始まると、
姉は神妙に「おしとやかな花嫁」を演じていた。
ってことで、記念撮影が終えたわれわれ一行はリムジンに乗り込み、式場である「コ・オリナ」教会へ向かった。
しかし、後に結婚式の写真を見たわれわれが、複雑な思いに捕らわれたことは言うまでもない。
両親などはそんなこと全然気にしていなかったが、姉1号と女王様(姉2号)、そして私は写真を見て、思わず絶句した。
写真は、残酷なまでに正直だった。

コ・オリナ教会は海に面した、ある意味吹きっさらしのナイスなロケーションに位置していた。
プライベートビーチに挟まれ、眺めは最高。ワイハでの結婚式に憧れる女性ならば、
きっと泣いて喜ぶような美しい教会である。
しかし、その日は風が強かった。
塩気を含んだ潮風が容赦なくわれわれの顔面に吹いてくる。
顔がガビガビになりそうだった。

教会について姉1号と合流すると、姉は既に泣きやみ、ケロっとして笑っていた。
……笑っていた。 どうやら姉が学習したと思っていたのは勘違いだったようである。
そのときまぶたの裏に、ホテルの車寄せでにこやかに手を振り、姉を見送るメイクさんたちの姿が鮮明に蘇った。
厚化粧→涙→潮風→笑顔 目じりの皺によくないことのオンパレードである。
さすがに、今素人が化粧直しをしたら、皺にファンデーションを塗りこむことになってしまう。

う〜ん、う〜ん、妹としては非常に悩ましいことだったが、ほっておくことにした。
帰国後、改めて写真を見てみたが、確かに皺はくっきりはっきり刻まれていたものの、
やはり姉は年相応に見えなかった。
まったくもって恐ろしいことである

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