つづきは「東光寺」

2000年11月6日
さんざん心の中で「ブツ」の配置の仕方に
文句を言った後、私達は本尊がもったいぶって
飾られている前の廊下で「鳴き龍」遊びに
興じることにしたわ。
「お、参加型じゃん。
 (って言っても手をたたくだけなんだけど)
 いいねぇ」
などと言いながら
手をたたく(パン!!)と。

≪わ〜〜んわ〜んわん。≫

おぉ〜!!! 共鳴した!!!
鳴いた!!  龍が鳴いたよ〜!!

と、本尊そっちのけで興奮しまくったわけ。 

機嫌を直した私達は
その後金堂地下で、文字通り真っ暗で
閉所恐怖症、暗所恐怖症泣かせの「お戒壇めぐり」に
参加し、地上に出て「十六地獄絵図」を堪能したの。

帰り際に寺の中の土産物屋を見てみると、
そこには「花うらない」なるものがあって、
とってもそれが魅力的に見えたのね。
出てきたお花の種類によって
ご神託がわかる、とかなんとかいううらない。
(寺なんだけどねぇ。)
「あ、花うらないがあるよ。やってみたら。」
(←と、自分ではやらずに人にすすめる。)
早速、幼馴染が試すことにしたの。
お金を取り出し、ちゃり〜ん、カシャ。
・・・・・・あれ、どっかで聞いたような音が・・。
見ると、幼馴染は花うらないにお金を入れたのでは
なく、何故かその隣の、「酒折宮」にあったのと
まったく同じのうらないマシ〜ンにコインをいれていたのであった。
「・・・意味ないじゃん。」
「あ。 ・・・・・。」
「まっいっか。ところで何だったの?」
「大吉。 恋愛、相手に誠意なしだって。
 これでも大吉なの?」
「・・・・・・・。(ぶっ)」

次に向かったのは「東光寺」。
ここが忘れたくても忘れられない場所だったわ。
何故って、それは・・・・。

パンフレットを開くと、
「東光寺」は重要文化財に指定されていて、
武田信玄滅亡後、織田信長の軍が乱入した際に
残した傷跡が残る柱がある(仏殿)がある、
と謳ってるのね。
東光寺自体は何度も焼失しているのだけど
何故かこの(仏殿)だけは焼け残るという
不死身の建物なわけ。
だから、中世禅宗建築を知る重要な建造物なのよ。

  ほほぉ〜。

県文化財のキンピカの薬師如来様と
立派な十二神将までいるのね。

  ふむふむ。

おまけに、伝説の「竜門瀑」の滝を登った鯉が
竜に化身する様を自然石で見事に描いたという
庭園まであるっていうじゃない。

  これは期待できそう!!

と、ドキを胸胸させながら東光寺目指して歩いたのね。
さすがにその時は足取りが軽くなったわ。

お寺についてみると、そこには人っ子一人いなかったのよ。
(・・・あら、思ったより盛り上がってないわね。)
一見すると普通の民家のようなお寺の
玄関らしきところに近づいていくと、・・・
なにやら歌が聞こえてくるわけよ。
待てよ。 これってどっかで聞いたような・・。
なんか、この歌って、右翼団体の街宣車から聞こえてくる
音楽にやけに似てない?
「誰かお寺の人が出てくるのを待っている間、
 この曲を聞かなきゃいけないのかなぁ」などと
言いながら、さらに見渡すけれど
人の出てくる様子が一向にないのよ。
ふと、目を下に転じると、そこには鐘があって、
「庭を見たい方は三打してください」と
あったのね。 それで三打して待ってみると、
中からと〜っても人のよさそうな奥さんが出てきたのよ。 「まぁ、遠路はるばる。 いらっしゃ〜い。」
ひざの後ろをカッコ〜ンとやられちゃったような
感覚に捕らわれながら、私達は奥さんに挨拶をして
拝観料、2人で6百円を新5百円玉と百円玉で
払ったの。 奥さんは新5百円玉を見ながら
「まぁ、いいのかしら? いいのかしら?」を
連発するので、私達は
(きっと奥さんは新5百円玉を始めて見たのに違いない)
と勝手に思い込み、ニコニコしながら
靴を脱いで、玄関にあがりこんだの。

玄関の奥には、何故か、寺に似合わない楽譜が
額縁に収まって飾ってあったのよ。
よく見ると、そこには「東光寺の歌」の文字が・・・。
は・・、ということはさっき流れていた歌は・・・
これ・・? クラクラ。
楽譜の隣には「織田無道」に似た
お坊さんが檀家らしき人たちに囲まれて
写真に収まっているじゃないの。
私達の間では、きっとこの歌を作曲家に
依頼したのはこの住職に違いない、
ということになったわけよ。
私達が目配せで暗黙の了解を確認しているうちに
奥さんは人のよさそ〜な笑顔で「ごゆっくり」と
言うと家の奥に消えていってしまった。


気を取り直して、お待ちかねの竜の庭園を
見渡す渡り廊下に出た私達は
またも打ちのめされることになったの。
「・・・・・この庭、あまりにも
 パンフレットと違いすぎない?」
「え? これがあのパンフレットの庭だったの?
 滝のある場所に水が流れてないじゃん。」

庭全体で滝を表現しているはずなのだけど
なんだか、全体的に「枯れている」のである。
石と石の間は茶色の地肌が見えていて
寒々としているわけ。
パンフレットでは一見無造作に置かれた、
しかしよく見ればひとつの線を描いているように
配置された石石の間にも青々とした草が生え、
全体が大変みずみずしく、
いかにもそれが「水と苔」を
表現しているように見えたのよ。


「秋、だから?」
「いや、関係ないよ。 秋が観光シーズンでしょ?
 草木はともかく、滝が枯れてるよ。」
「それって、あの奥さんがただ単に滝に水を
 汲み上げるはずのモーターのスウィッチを
 入れ忘れちゃったって問題なのかなぁ。」
「そうなんじゃない。」

ガーーーーーーーン

なんだか、お見合い写真にだまされちゃった気分。
そんな〜。 

私達は3百円の元は取りたいと、廊下を渡りきって
キョロキョロし始めたのね。
今度こそ、と期待に胸を膨らませて廊下を曲がると、
そこは・・・ゲートボール場だった。

「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

「どっかに仏殿があるはずよ。」
「そうだ。 仏殿!! 薬師如来と十二神将!!」

私達は渡り廊下を引き返したわ。

-----------------------------更につづく


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